ジェッダにアルバイクという名の、鳥の唐揚げを売るファーストフード店がある。ケンタッキーフライドチッキンと同じだが、味が醤油味で辛く、たいへんおいしい。値段は10リアルで、日本人からしたら安いものだが、一日の食費5リアルで暮らす大多数の移民にとっては入る店ではない。店舗数がどんどん増えてマクドナルドのような勢いがあり、店員も多分バングラデシュからの集団就職が多いと思われるが、みな身ぎれいにしており、今年になってから、ヘラの交差点から少し東に行ったところにあるお店に毎週金曜日、ヘラの買い物のあとに行くのが日課になっていた。ヘラに行くのは大体11時だが、少し遅れるとアルバイクは昼のお祈りになってしまって買えないこともしばしばだった。18日(金)、ヘラのあとでいつもより店に少し早く着くと、店員が「今日は早く来た」という。そのとおりだなとお互いににっこりする。おだやかなやりとりだ。文部省の外郭団体が発行している「海外子女教育」という、海外に滞在している日本人子女5万人のための雑誌があって、毎月会社が送ってくる。その中に次のような記事があった。外国に住むと現地との関係は次の5段階を経る。第1段階は魅入られる、これはフランスなんかに行って「わ〜! いい!」という段階。第2段階はこんなはずじゃなかったという段階。習慣の違いなどで落ち込む。第3段階は慣れていく課程。第4段階で「感情の交流ができるようになる」。第5段階は2文化共生の段階で、どちらも理解できる段階に至る。今まさに第4段階の真っただ中だなと実感する。
19日、出入国ビザ申請依頼のレターにマネージャーのサインをもらい、人事に持っていくと、イカマの期限が9月3日だから、まずイカマの更新をして、それからビザ申請だといわれる。
カン太が日本生まれだとした場合の「出生国の当局」の証明だが、サウジにきたときの輸出検疫証明書をアラビア語に翻訳して領事証明をしてもらえるか領事館に相談する。しかし個人的なものには発行しないとの返事。出生国が日本だとすると絶望的な事態だ。
スクールバスは1学期で廃止となるので、学校ではバスの運転手のお別れ会があり、つぼはピアノを弾く。妻の話では、運転手は失業することに対して「ノープロブレム」と言っていたそうだ。