運転手は12〜13歳だろうか、応対は大人並みだが、まだ声が黄色いよ。最初に右手に見えてくるのが一番高いクフ王のピラミッド。さえぎるものがないと大きさの基準がなくなってしまい、かえって大きく感じない。とことこ進んでこんどは2番目に高いカフラー王のピラミッドが現れる。このピラミッドは化粧石が上の方だけまだ残っている。ピラミッドというのは直方体の石を積み上げたものだから、側面は当然ぎざぎざになる。ぎざぎざを隠してきれいに見せようと化粧石で覆う進歩をとげることになる。更に奥に進むとずっと小さいメンカウラー王のピラミッドになる。ふもとに馬車を停めて、ピラミッドの中に入れるようになっているのではしごを登って中に入る。中に入ると今度は下りでせまい階段を下りていく。撮影は禁止だが、案内の兄ちゃんが「貸せ」といってビデオを取り上げ下りる姿を撮ってくれる。下りきったところが部屋になっていて、お墓なのだろうか、これもビデオを撮ってくれる。彼等はルールなどというものは眼中にないのだ。外に出るとこんどはおじいさんが寄ってきて、有名な3大ピラミッドが見わたせるところでビデオを撮ってくれるという。おじいさんはビデオをのぞきながら体を右へ傾けていき、ほとんど横90度になってビデオを撮る。ビデオカメラも横90度だ。鉄砲を撃つ時、照準器をのぞきながら頭をかしげるが、それと同じで気持ちはわかる。次におじいさんは妻とつぼの手を引いてメンカウラー王の何段か上の方に登らせてくれる。石の高さは腰ぐらいまであって、手を使わなければ登れない高さだ。裏側に進むと、小さなピラミッドが3つある。説明を受けなくてもこれは奥さんで、かつピラミッドはお墓なのだということがわかる。奥さんのお墓は台形が積み上がった形をしていて、側面のぎざぎざが石一個単位より大変大きい。最初は台形で、次にクフ王のように石を連続して積み上げ、さらに進んでカフラー王のように化粧石で覆うというわけだ。ピラミッドを下りると、おじいさんは更に先週発掘されたものだといって何かの建物に案内する。先週かどうかあやしいものだが。足もとにふんころがしが歩いている。チップをあげて、再び少年の馬車に乗って出口へ戻る。出口近くにスフィンクスの後ろ姿が見えてくる。かんちゃんに似てるね。外に出るとタクシーの運転手が寄ってくる。よく見てるなあ。7時半だ。