サウジアラビア。名前はだれでも知っているが、暑くて、砂漠があって、ラクダがいて、石油が出るということくらいしか知らない。1973年にオイルショックを起こし、最近ではイラクがクウェートに侵攻し、となりのサウジが米軍の基地となった。周辺ではイスラエルとパレスチナが終わらない戦争状態を続けていて、戦争ばかりやっているところという印象である。イスラム教の国で、酒は禁止、麻薬は死刑、それも首切り。むち打ちの刑もある。豚肉は食べられない。車は逆行する。一日5回のお祈りをする。毎年1ヶ月は断食の月がある。そんなことをしたら死んでしまうではないか。女性は抑圧されていて、黒いベールを被り、車の運転はできない。ある欧米人が車で事故を起こし、サウジ人が死んでしまった。花を持って謝りに行ったが、数日後、ぐるぐる巻きにされて、事故を起こした同じ場所で、同じように車に轢かれて発見された。目には目をである。犬は嫌われる。猫はかわいがられる。開祖モハメッドが猫を飼っていたからだそうだ。メッカ、メディナというイスラム教の聖地がある。 異教徒排斥がきびしく、会社の先輩が出張時、メッカの中に車で入ってしまい、牢屋に入れられた。石油のおかげで桁違いの大金持ちがいて、砂漠の真ん中を高速道路が走り、ベンツが疾走する。20世紀初め、イブン サウードという英雄がサウジを統一し、石油が出て、第2次世界大戦後、空前の発展を遂げた。「サウジアラビア」というのは「サウード家のアラビア」という意味である。現在の王様は5代目でまだイブン サウードの息子の代だ。一夫多妻なので、プリンスが1000人とか2000人とかいる。
外国人はコンパウンドという一通りの施設が揃っている集合住宅に住むが、写真を見ると、家の前にプールがあって、まるでリゾート地である。民衆は水が無くて苦しんでいるのだろうに、ひどい差別社会だ。
こどもの時読んだ本に「空を真っ赤に焼き尽くす紅海の夕焼け」という白黒の写真があって、ジェッダでこれを見るのが唯一の楽しみだ。
と、以上のような予備知識をもって、いよいよサウジに入国だ。
搭乗口の待合いにいく。ここを入るともうサウジだと聞かされていたので、警察の取り調べを受けるような気持ちで荷物のチェックを受ける。黒いマントをかぶったサウジ人の女性がいるので、見ぬふりをして見る。取り調べといい、サウジ人といい、敵意は感じられない。