10月2日、市内のホリデーインというホテルに日本食レストランがあり、そこでお客さんとひるめしを食べる。琴の音が流れ、一つ一つの調度が日本風に作ってあるが、似せれば似せるほどむなしい。大体今の日本はこんな店はごく少ないのだ。事務所に戻って仕事。夜8時頃、突然電気が消える。町全部が停電してるようだ。事務所近くのスパゲッティ屋でスパゲッティを食べて、コンパウンドに帰る。停電の影響で水は出るか、お湯は出るか心配だったが出た。しかし翌朝断水だ。会社に行って、コンパウンドのメンテナンス部門に修理依頼の電話をする。コンパウンドのマネージャー宛に家族用の3ベッドルームをさがしていると手紙を書く。今の家は2ベッドで狭く、男所帯が3代も続いた部屋になど住めるものではない。夕方、コンパウンドで住民登録みたいな登録をすませ、先週金曜日、日本人会の水泳大会のあと急死されたジェッダ総領事の告別式に参列する。翌々日、3ベッドのマネージャーに会う。陽気な調子のよいイギリス人である。今の部屋の契約が11月末で終わるので、それに合わせて新しい3ベッドに移ることにする。本当は今すぐにでも変わりたいのだが先方も都合があるらしく、こちらも何から何までわかり尽くして話をしているわけではないので、一番イージーなところに落ち着いてしまう。翌10月6日、2度目の金曜日。またセンターのレストランに行く。イージーリスニングのムード音楽がかかっている。お〜っ!! この1週間、音楽がゼロだった。テレビもつかず、音のない生活をしてきた。音楽は喉の渇きとおんなじだ。町に音楽がないから、禁断症状だったのだ。食事を終えてレストランを出る。じりじりと暑い。コンパウンドの裏木戸をあけて外をのぞく。ドアはオートロックなので、うっかり外に出て閉まってしまったら危ないのだと恐る恐るのぞく。焼き付けるような暑さと、人っ子一人いない通りの光景がすごいなあと心に焼き付く。しかしコンパウンドの西側に大きな空き地があって、そこは犬の糞だらけでとにかく連れてくることができるのは確実だ。コンパウンドにはカラスがたくさん飛んでいるが、こちらのカラスはツートンカラーで、胴体がねずみ色だ。 家に入ると蜘蛛が1匹いる。よく生きているなと感心する。週が明けて7日、イカマを申請する。申請にはパスポートが必要で、人事がパスポートのコピーをとり、スポンサーの会社名のはんこを押して、これを持っていろといわれる。またホリデーインで別のお客さんとひるめしを食べる。ここは汗がどんどん出て、そのかわり小便があまり出ないので、痛風になりやすい、風土病ですよといわれる。着いて1週間だが、あまりに多くの出来事が通過するので、日記兼用のカレンダーを作って逐一記録するようにした。