10月10日、イカマがとれる。今度はトラベルレターというのを申請する。サウジ国内の出張にはこれが必要で、通行手形のようなものだ。こちらは翌日には手に入る。ちなみに国外に出るときは当然パスポートが必要で、その時には、普段常時携帯義務のあるイカマをパスポートと交換する。普段はパスポートはスポンサーの人事に取り上げられている。これは勝手に国外に逃亡させないためで、つまりサウジに来ている外国人は奴隷ということだ。翌11日、スポンサーの総務のようなところにスーツケースの鍵が着いていたことがわかったが、もういらないよ。ダンマン出張の準備でホテルを予約し、飛行機の切符を買う。12日(木)、出張用のかばんを物色し、キャスター付きの縦型のを買う。暑いので帽子はいるのかなあ、しかしこちらの人は帽子はかぶっていないし、かぶるとフィリピン人に間違えられると同僚に言われたが、前任の荷物に麦わら帽子風のがあったので持っていくことにする。これで活動準備完了。
ジェッダ。サウジアラビアの西岸、紅海に面した人口200万人の商業都市。イスラム教の聖地メッカの玄関口にあたり、世界中からイスラム教徒が巡礼にやってくる。ジェッダに着いてから皆に、「ジェッダのほうがいいですよ、海があるから」といわれる。首都リヤドまでは1000km、そこからさらに東に200kmで、アラビア海に到達し、ダンマン、コバールといった都市がある。北回帰線を挟んでリヤド、ダンマンは上、ジェッダはやや下にあり、だから夏至の時に太陽が真上にくる。石油が出るのはアラビア海沿岸で、ジェッダに着いた日に見えた噴水は石油ではなく、ジュネーブの噴水を真似た高さ世界一の噴水だそうだ。市街地は南北に14km程度で、東西は数kmほどしかない。市街地の周囲を環状道路リングロードが走っている。市の中心シティーセンターは市街地の一番南にあり、旧市街、オールドジェッダと呼ばれている。また古い地名なのかバラドともいわれている。シティーセンターから北に400km、聖地メディナに向かうメディナロードが走っている。その広さは両側3車線の走行車線に加えて、サービスロードという、建物にアクセスするための道路が敷石を隔てて設置されていて、それも2車線あり、実質高速道路である。聖地メッカは同様にシティーセンターから東に100kmのところにあり、さらに100km進むと山岳地帯となり、タイフという町がある。ここは王様の避暑地でもある。リヤドへ行くにはこの道を通る。ジェッダの飛行場はメディナロードを北に14km、市街地を外れた所の東側にある。リングロードを東西に何本も横断する道があり、やはり大変広い。