「飛行機というのはいつもうるさいのだけど、これはエアコンの音ですか?」
「わからない」
「機内で座る席はいつも決まってるんですか?」
「いつも決まっているわけではない。でもフライト中は決まっている。席はチーフが決める。」
キャセイ航空だから、香港生まれだろうと思って「香港生まれですか?」と聞く。
「マレイシア!」と答えが返ってくる。
ふ〜ん、マレーシアにもこんな美人がいるんだ。
そろそろ着陸だ。もう時間がない。どうしても言っておかなければ。
「あなたはとってもとってもチャーミングだ」「サンキュー」と永遠の別れを告げる。
小田原の家に帰る。会社の人から電話があったと妻がいう。土曜の夜も月曜の朝も同じだ、いちいち電話してくることもないのにと思いつつ電話するが不在、悪い話の可能性はあるが「月曜だ」と電話はそれきりにする。
翌日曜日は息子のボーイスカウトについていく。幼稚園年長から小学2年生まではビーバースカウトといってボーイスカウトの準備期間みたいなクラスが1年前から始まっていて、月2回くらい野山を歩き回る。今回は小田原いこいの森でラリーごっこ。
6月26日月曜日、出社。課長が待ちかまえている。「海外サービスに転勤だ」そうか、あり得ることだ。「部長が話す」
部長が現れる。「サービスに行ってからサウジに転勤だ」
しまった、やられた! アメリカにいって英語を話せるようになりたいと思っていたのが実現せず、東南アジアを押しつけられたらいやだなあと思っていたところ、それを飛び越してサウジでは家族が住めそうもない。
とにかく中東経験者に話を聞きに行くが一向に腑に落ちない。
それではと、先週仕事をしてきた台湾の同期に電話する。 彼はギリシャのアテネに駐在して中東を飛び回っていた経験者で、ヨルダンのネボ山から死海を見下ろす景色を見て感激したというロマンチストである。