昼まで最後の準備をして昼飯を食べにゲストハウスへむかう。至る所タイヤの半分くらいが水没してしまう洪水の中をのろのろ走る。着くと同僚が来ていた。コンパウンドを出るときすでに洪水で来られなかったそうだ。昼食を終わりコンパウンドへ帰る。気をつけろと言って運転手を帰し、家にむかうと太い木が根こそぎ倒れている。なりは立派だが根まわりは直径ほんの50cmくらいしかない。所詮人工的に植えただけの木だからなあ。
11月3日(金)午後飛行場に出発。イミグレーションの赤い停止線で順番を待っていると、白いトービの恰幅のいいサウジ人が横からす〜っと来て割り込んでしまう。文句をいう間もなく、あれよあれよという間の出来事だ。大体、停止線で待っている奴などいない。今度は第3国人が割り込んで来た。許せぬとばかりに「おい!」と日本語で大きな声を出すと、おびえた様子で、なんだよ!という顔をしてすごすごと引き下がった。怒られること自体が経験外の様子だ。搭乗を待っている間、スカーフが赤白でなく、真っ白のをしている人を多く見かけるが、どうも彼らはクウェート人のようだ。こちらの方が見栄えがよいが態度はサウジ人とおんなじだ。
2時間の飛行でクウェートに着く。ガスの燃える真っ赤なフレアが上空から見える。道路の照明は水銀灯の白色で、文明!という感じがする。飛行場もぴかぴかだ。イミグレーションもなんなく通過。カスタムもかばんを開けてちらと見る程度で、サウジとずいぶんちがう。外に出ると出迎えの商社の運転手が日本人と見て寄ってくる。それを見計らって駐在の日本人が現れる。はじめましてとあいさつして車に乗り込み市内へむかう。水銀灯の高速道路は立派で、いかにも外国だなあと話す。アメリカが作った町だとのことである。ホテルの前にめしを食いましょうということで、ホテルのレストランへむかう。エスカレーターを上がるときらびやかなロビーで、バンドが音楽をかなで、ピアノの音がしている。その雰囲気の豪華なこと、日本の最上級のホテルに優るとも劣らない。何だこれは! なんというサウジとの違いだ。ロビーの角にある日本食屋に入る。いらっしゃいませとインドなまりが出迎える。浅黒い、インド人の目をしたウェイトレスが着物を着てすたすた歩いている。名刺交換をし、寿司を注文する。テーブルをセットに来たフィリピン人のウェートレスの手が動き、目の前に裸の腕がぬ〜っと現れてびっくりする。1ヶ月以上、女の人の顔以外見ていないからだ。食事を終わり、シェラトンホテルにむかう。明日の約束をして部屋に入ると、豪華なすばらしい部屋である。