夕方ジェッダに着いて、いつものスパゲッティ屋でスパゲッティを食べて外に出ると、若者が車に近づいてくる。妹が病気で、病院の費用が必要なのですという。たまたま持っていた50リアル札を思わずあげてしまう。ほんとうなのかなあ?というと「多分」と運転手は笑っている。いや、サウジに来たとたんにいろいろのことが起こると感心する。
1週間ぶりの金曜日、またセンターのビュッフェで食べて外を歩くと、日差しは強く30度を越えているが、乾燥してからっとした暑さがすばらしく気持ちがよい。気持ちがすこしゆったりしている。コンパウンドに水を運んでくるタンクローリーの3国人の運転手と目が合い、お互いににこっとする。だれもいない砂漠で人に出会ったらにこっとするだろうという感じのあいさつである。アメリカ人らしい人がわりと大きな犬といつもくさりなしで散歩しているので、どうやって連れて来たか聞く。BA(ブリティッシュエアウェイズ)だという。BAは犬の扱いが大変ていねいでよいと言われる。
土曜日、歯を治しにコンパウンドに近い、GNPホスピタルという病院に行く。病院のかかり方は外国暮らしでの心配事の最たるものだが、もうそんなことを言ってられない。受付で書類に記入し、ドクターは?と指定を促されるが誰でもいいと言って、しばらく待つと直ちに治療に入って終わる。保険がないからやや高いが、こんなに簡単に終わる歯医者はすばらしい。サウジに来て初めていいことがあった。二日後、別のフィリピン人の看護婦が歯石をとってくれる。彼女は医者かもしれない。ていねいで、終わって思わず大変上手だと謝意を表する。11月15日(水)、リヤドでアメリカの施設が爆破される。先週いた事務所の近くだ。
休日はひたすら引っ越しの準備をする。ドアベルがピンポンと鳴る。ドアを開けると西洋人の女の子が立っている。10リアルくれという。何かの寄付のようなニュアンスで、しかとはわからないがあげる。3代にわたる先人の備品の大部分を捨てる。夕方になって家の前のごみ置き場が小山のようになる。今度は中学から高校生くらいの男の子3人組がごみを指さして「ごみ?」と聞く。そうだと答えるとまたたびを嗅いだ猫の様な勢いでめぼしいものをあさり、持ち去った。西洋人の子供は物を思うようには買い与えられてないのだろうか? ごみが散らかっている。原因を作ったのはこちらだからと思いつつ片付ける。
翌土曜日、こんどはジェッダの飛行場で煙りさわぎがある。リヤドに続いてのことか?
結局、小火だったようだ。