入国すると旅行エージェントの人間が寄ってくる。ナイル川へ連れていくことで話がつく。運転手はアラビア人のおじいさんで英語は右、左という程度しか通じない。ナイル川に着く。これが子どもの時から名前だけは知っていたナイル川だ、はるか彼方からきたもんだと感慨深い。しかし川幅は想像を絶するという程広いわけではない。川岸のレストランで川を見ながら、おじいさんを前にしてシシカバブを食べる。塩辛く大変うまい。気候は日本の11月後半と同じで屋外なので肌寒い。先ほどのエージェントのおっさんといい、このおじいさんといい、善人なのか悪人なのかがわからず、終始警戒をおこたらない。めしを終わってピラミッドへ行くかと言われるが観光ではないので飛行場へ戻る。ナイル川沿いにはホテルが林立しており、対岸にはメリディアンが壮大な姿を見せている。飛行場に着く。時間はまだ3時間もあり、チェックインカウンターは開いておらず、がらんとしている。うろうろして時間をつぶし、やっとチェックインだ。造作の大きなエジプト人の女性があなたはリコンファームをしたかと聞く。今朝買った切符を何がリコンファームだ、今朝買ったんだよというと、彼女は予約がないと言う。そんなバカなと絶望が襲う。なんとかしろと粘るがどうしようもないと彼女は言う。あきらめてはならじと英会話教室で習った教材のまねで、マネージャーを出せという。おっさんのマネージャーが出てくる。良くわからぬがどうやら出発直前にキャンセルがあるかもしれないからそれまで待てということのようだ。さあ大変だ、ジェッダに連絡しなくては。荷物チェックのX線を逆に戻ろうとするとダメだと言うが押し切って外へ出て、テレホンカードを買って商社に電話。ベテラン日本人はだめだったら出直したほうがいいという。引っ越しが控えてるのでそれはいやだがと思いつつ中に戻って、カウンターの女性に、ところで犬を飛行機で運ぶのはどうしたらいいかと聞く。ケージに入れて予約をして云々と同じ様な答えだ。ところでまだ乗れるかわからない?と彼女に聞く。答えはやっぱり待て!。最後の最後になって切符をくれる。急げ。もう誰もいない待合所を通り抜けて飛行機に乗り込む。一番前の席に座る。エジプトエアーは鷲だか鷹だかの絵が尾翼に描いてあって、愛嬌がある。やれやれだ。スチュワーデスがくしゃみをする。目が合う。恥ずかしいが隠す気もなく、あっけらかんとして互いににっこりする。

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