ピザを食べてまた出発、夕方ラタキアに着く。ある家の前に車を停める。ここでめしかと思ったが仕事だった。商社のスタッフが来る。落ち合う約束になっていたようだ。仕事はすぐに終わり、ホテルに入る。晩めしに出掛ける。海岸の岩場の上に作ったレストランで風情があるが、ありついたのは10時15分である。いつもこんなに遅いのかと聞くとそうだと言う。それで何時に寝るのだ? 2時だ。それで何時に起きるのだ? 5時か6時だ。なるほど。
翌朝、起きて準備をしていると、セールスが彼の部屋のドアを開けて首を出し、「おはよう」とあいさつする。修学旅行の中学生みたいだ。朝食をとる。彼らはいつまでも食べているが、日本人はそんなにいらないよということで外に出る。目の前に地中海が広がる。これが地中海だ。水があまりにもきれいだ。サングラスが真っ黒になる。このサングラスは低温で紫外線が多いと黒くなるもので、ジェッダでは紫外線は多いが、暑いのでサングラスの用を果たしていないのだとわかる。ラタキアから山を越えてアレッポへ向かう。山を越えると広々とした景色が広がる。砂漠だが、遠景に山が加わっていて絶景である。
アレッポに着いてお客の店に入る。トルココーヒーをすする。12〜3歳くらいの子どもが大人にまじって一人前に胸を張っている。大人になりかけた子どもがお兄さんと呼ばれるのがうれしい年頃が日本よりずいぶん早いのだ。
どこかに出掛ける。荒涼とした網走番外地みたいな荒れ地に石作りの建物がある。こんなレストランもあるのかと思っていると、また仕事だ。お客の店へ戻って遅い昼めし。生粋のアラブ料理。野菜とオリーブ油とラムの肉で健康にいい食べ物だ。店のおやじがこれを食え、あれも食えととってくれる。有無を言わず食べる。
やっと帰路につく。セールスはカローラで160km/hも出すが、商社のスタッフはベンツのレンタカーで170km/hも出す。真っ暗な道、前を行くトラックが空荷だが140km/hも出している。途中休憩所でワンストップ、セールスは「ベリーコールド!」と屈託がない。しかしほんとに寒い。9時にダマスカスに着く。商社の所長が夕食をごちそうすると待ちかまえていた。中華料理を奥様共々ごちそうになる。日本語がしゃべれるのでしゃべりまくる。