9日(土)、リヤドの同僚が後任とともにジェッダに来る。おあずけ期間半年でやっと帰国できることになったわけだ。夕方、切符を全部買いに行く。切符屋がとろくて1時間半もかかった。今度はスポンサーに車がいつ手に入るのか交渉する。
晩めしはリヤドの同僚の歓送迎会。紅海に桟橋を突き出したレストランでアラブ飯を食べる。海の上で食べているようなレストランで得も言われぬが、風が強く、3月ではやや寒い。饒舌を続けていると、商社の所長が「もうすぐ家族が来るので元気なんだ、こういう事がなくちゃな」と言う。その通りです。
10日(日)、日中は同僚たちと仕事。夕方、中古屋にボルボをキャンセルに行く。手付け金を返せと要求するが、のらりくらりと返したくない風で、あげくの果てにイカマを出せと来た。時間がないので、もういいと手付け金の領収書を相手の手から奪い返し、とって返す。スポンサーの方も車は埒が開かず、デュバイに出掛ける。デュバイで本社からの出張者2名と落ち合い、握手を交わす。こちらはもう中東に慣れていて感動の再会ということはないが、出張者の方が中東に対して構えているので、よくぞここでという感慨はある。イメチェンしたねと言われるがこちらの床屋が刈りすぎるのだと言い訳する。やせたねと言われて、食ってないもんと答える。
11日(月)、雨がざあざあ降っていて寒い。長靴がいるなと出張者。終日の打ち合わせを終わり、晩めしは商社の社宅でワインを飲みながら寿司をごちそうになる。サウジの悪口をいっぱい言う。相当頭来てるねと本社の同期。ばかな国ですよとため息で締めくくる。みなはサウジを知らぬから正しく伝えるのはむずかしいのだが、サウジが大変だというのは日本人の常識になっているので、そこにいる奴がこれほど言うのだからそうなのだろうという伝達の仕方である。しかし、ワインというのは何にでも合うのだと知る。醤油と同じだ。12日、13日と仕事を終え、夕方みなを連れてジェッダへ帰る。みな、サウジの入国に戦々恐々だが、大丈夫大丈夫と悪い気はしない。東洋人というのは魅力あるねと出張者が旅の道中の感想をもらす。もちろん女性の話だ。テレビのデルタエアラインのコマーシャルで、制服姿のスチュワーデス10人くらいが歩いているシーンがあるが、歩く姿勢が腰を引くことなく上下にリズムをとり、テンポ速く、力強いこと男のようで、西洋人だなあと思う。それにひきかえ、東洋のタイ航空、シンガポール航空、エアランカのコマーシャルはとにかく優しい。西洋の女は男だが、東洋の女は女だ。