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10.おわりに

第2部、合唱について書きたいことは書きました。練習で教わったことと、これまでの知識を関連させて順番に書いただけですので、第1部ほどにもオリジナリティはありませんが、中学の卒業アルバムのように良い記念になったと思います。

練習を通して、男声陣が3分の一しかおらず心配されていたのですが、主宰の考えるところ、男声陣の方が上手になったと思います。というのは、どの曲もそもそも何を表しているかといったら、人の心のわくわく感をあらゆる手管を使って表現しているわけです。練習中、合唱指揮者が何度も「もっと色っぽく!」と指導するのですが、女声陣はほとんどが上品な小田原の奥様ですから、なかなか「色っぽく」なれないのです。それにひき替えると、年配者が多いとはいえ、男声陣のほうが悪いことはしていますから、やれと言われればそのように出来るため、伸び伸びと生き生きと大きな声で歌いました。今回、独唱者がお話をしながらオペラの歌を歌ってくれるサービスの演奏会がありましたが、ドンジョバンニの「お手をどうぞ」など、曲自体が人の心の揺れ動きとわくわく感を表したもので、歌手も冗談ばかり言っていて、普段も楽しい人だなということがわかります。カラヤンも小沢征爾も、最初の堅気の人とは別れて共にマネキンと再婚しました。今回の合唱指揮者も、マエストロと意見が合わなかったら寿司でも食わして丸め込もうとか、鼻水をたらしてラーメンをつくっている兄ちゃんに金だけ払って出て来たとか、マエストロはマエストロで、打ち立てのコンクリートに爪を立てるたとえなど、悪ガキのころの経験に違いありません。半年の練習で書き足すことといったら、このように音楽家というのは遊び人だということです。クラシックに馴染みのない人達が練習を見る機会はないわけですが、もし覗いてみたら、こんなに大笑いの連続であることに驚くと思います。

東京が世界一の音楽市場になって久しいのですが、海外の一流の演奏家が引きも切らず押し寄せて、何万円もする切符が完売する。でも自分達のものはどこにあるのだと考えたとき、この状態は理想的なものだとは言えません。クラシックは敷居が高いと昔も今も言われます。しかし、今回間近に見た音楽家達の垣根の低さは比類がない。このことをせいぜい宣伝していこうと思っています。

さて、この音楽談義で書くことがなくなりました。音階とリズムのところで、決まった高さの音の組み合わせで西洋音楽が出来ているようだと書きましたが、これについては「調性について」ということの主宰なりの理解を付録として書こうと思っています。楽譜に表された音が何という音であるかがわかるように次回の練習までになっていることが目標です。それまで付録は工事中としておきます。

それから、これ以上何か書くとしたら、この談義中でいくつか書いた「これからの楽しみ」についてだろうと思います。40年前に買って読んでいないベートーベンやワーグナーの伝記とか、ドイツ語を当たってワーグナーの台本を当たるとか、やはり40年前に買ってそれきりのイタリア語を勉強してナブッコを歌うとか、これらを体験してまた何か書くことが出てくるかもしれません。音楽談義第3部となればいいのですが、それがいつになるという保証は全くないので、ここで主宰の音楽談義はおしまいとします。

                                                                            2010.5.10